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キャリアコンサルタントの資格を取得!その方法とメリットをご紹介

キャリアコンサルタントとは、労働者の職業選択や職業生活の設計、職業能力の開発などについての相談に応じ、アドバイスや指導を行う専門家のことです。社員と深く関わる人事担当者としてさらなるキャリアアップを図るなら、キャリアコンサルタントの資格を取得するのも一案といえます。

そこで今回は、キャリアコンサルタントの資格の概要とともに、取得するメリット、具体的な取得方法についてご紹介します。ぜひご覧ください。

キャリアコンサルタントの資格は主に3つ!それぞれの概要を解説

キャリアコンサルタントに関連する資格は、主に以下の3つです。

キャリアコンサルタント 資格の種類

そもそもキャリアコンサルタントは登録制の名称独占資格であるため、資格を持っていない人がその肩書きを使うことはできません。

キャリアコンサルタントの資格を取得し、キャリアコンサルタント名簿に登録することではじめて「キャリアコンサルタント」と名乗ることができます。

キャリアコンサルタント国家資格

キャリアコンサルタント国家資格は、2016年4月より国家資格となった専門資格です。キャリアコンサルティングに関する一定の技能を備えた上で、守秘義務を守りながらキャリアコンサルティングに関する技能および知識を継続して学習・研鑽している専門家であることを証明します。

キャリアコンサルタント国家資格を取得すれば社内でキャリアコンサルティングができるようになるほか、個別にクライエント(依頼人)のキャリアコンサルティングもできるようになります。また、職業能力開発推進者として活躍の幅を広げることも可能です。

2級キャリアコンサルティング技能士

キャリアコンサルティング技能士とは、「キャリアコンサルティングに関する優れた技能・知識をどれほど備えているか」というレベルの到達度を証明する資格です。

2級キャリアコンサルティング技能士は、キャリアコンサルタント国家資格よりも個別相談の専門性が高い、2008年に誕生した専門資格です。

2級キャリアコンサルティング技能士の資格を取得した場合、難易度の高い事例であっても安定的にキャリアコンサルティングができるほか、組織内でのキャリアコンサルティング関連事業の提案や、キャリアコンサルタントの養成講習・更新講習などの講師を担うこともできます。

1級キャリアコンサルティング技能士

1級キャリアコンサルティング技能士は、指導者としての適格性を保有できる専門資格です。2級キャリアコンサルティング技能士と同じく、2008年に誕生しました。

1級キャリアコンサルティング技能士の資格を取得した場合、どのようなクライエント(依頼人)であっても安定的に適切なキャリアコンサルティングができるほか、事例指導や研究活動、教材・ツール開発などに携わることもできます。

確認しておこう!キャリアコンサルタントの資格を取得するメリット

では、キャリアコンサルタントの資格を取得することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

社員から信頼を得やすくなる

キャリアコンサルタントの資格を取得すれば、資格を持たずにキャリアコンサルティングを行う人よりも権威性が高くなるため、社員から信頼を得やすくなります。

たとえば、人事担当者として社員の相談に乗るときに、キャリアコンサルタントの肩書きがあれば信用を得やすいため、社員が心のうちを明かしてくれる可能性があります。相談内容に応じた適切なアドバイスがしやすくなるため、自分にとっても社員にとっても大きなメリットになるでしょう。

転職を有利に進められる

キャリアコンサルタントの活動の幅は広く、ハローワークをはじめとする公的機関のほか、教育機関、自立支援施設、医療・福祉施設など多岐にわたります。また、企業向けのセミナーの開催や職場環境改善の支援なども、キャリアコンサルタントの仕事です。

この点から、キャリアコンサルタントの資格を取得すれば職業の選択肢が増えるため転職がしやすく、キャリアアップも図りやすいといえるでしょう。

人脈を広げられる

詳しくは後述しますが、キャリアコンサルティングについて初めて学ぶ方や実務経験がない方が資格取得に挑戦する場合は、厚生労働大臣が認定している「養成講習」を受講するのが一般的です。性別・年齢を問わずさまざまな人が養成講習に参加するため、そこで人脈が広がることがあります。

異業種の人と情報交換をしたり、意気投合した人と養成講習以外でも関わったりすることで、仕事とプライベートの両方を充実させることができます。

種類によって異なる!キャリアコンサルタントの資格を取得する方法

キャリアコンサルタントの資格の取得方法は、それぞれの資格で異なります。

【共通】キャリアコンサルタント養成講習の受講

前提として、キャリアコンサルティングについて初めて学ぶ方や実務経験がない方は、厚生労働大臣が認定している「養成講習」を受講するのがおすすめです。

養成講習を開講している団体は複数あり、それぞれで特徴・費用は異なります。中には無料説明会を開催している団体もあるため、各団体のホームページを確認して選びましょう。

以下で、養成講習を開講している団体の一例をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

キャリアコンサルタント養成講習を開講している団体例

キャリアコンサルタント国家資格

キャリアコンサルタント国家資格の受験資格、学科試験・実技試験の詳細は以下のとおりです。

受験資格

受験資格は3つあり、いずれかひとつを満たしていれば受験することができます。

参照:資格取得の流れ|国家資格 キャリアコンサルタント試験

学科試験

学科試験は四肢択一マークシートの全50問で、試験時間は100分、受験料は8,900円(税込)です。100点満点中70点以上の得点であれば合格となります。

なお、第19回 キャリアコンサルタント試験における学科試験の合格率は60.8%、第20回は78.2%です。試験までにキャリアコンサルティングについてしっかり学習すれば、十分合格できるほどの難易度と考えられるでしょう。

参照:第19回 キャリアコンサルタント試験 試験結果|国家資格 キャリアコンサルタント試験 / 第20回 キャリアコンサルタント試験 試験結果|国家資格 キャリアコンサルタント試験

実技試験

実技試験には「論述試験」と「面接試験」の2つがあり、後者はさらに「ロールプレイ」と「口頭試問」の2つに分けられます。

論述試験は逐語記録を読み設問に解答するスタイルで、試験時間は50分となっています。

面接試験(ロールプレイ)は、実際のキャリアコンサルティングを想定して、面談の最初の15分間という設定で行うため、試験時間は15分です。面接試験(口頭試問)は自分自身のキャリアコンサルティングに関する試験官からの質問に答えるスタイルであり、試験時間は5分となっています。

すべての実技試験をあわせて150点満点になっており、90点以上の得点であれば合格です。受験料はすべての実技試験をあわせて29,900円(税込)となっています。

なお、第19回 キャリアコンサルタント試験における実技試験の合格率は59.7%、第20回は57.5%です。学科試験に比べると低いため、より入念な準備が必要と考えられます。

参照:第19回 キャリアコンサルタント試験 試験結果|国家資格 キャリアコンサルタント試験 / 第20回 キャリアコンサルタント試験 試験結果|国家資格 キャリアコンサルタント試験 

2級キャリアコンサルティング技能士

2級キャリアコンサルティング技能士の受験資格、学科試験・実技試験の詳細は以下のとおりです。

受験資格

受験資格は5つあり、いずれかひとつを満たしていれば受験することができます。

2級キャリアコンサルティング技能士_受験資格

参照:受検資格|国家検定 キャリアコンサルティング技能検定

学科試験

学科試験は四肢択一マークシートの全50問で、試験時間は100分、受験料は8,900円(非課税)となっています。100点満点中70点以上の得点であれば合格です。

なお、第26回 2級キャリアコンサルティング技能検定における学科試験の合格率は57.37%、第27回は66.77%、第28回は57.40%です。合格率はそこまで低くないですが、試験までにキャリアコンサルティングについてしっかり学ぶ必要があるほどの難易度と考えられます。

参照:2021年度 前期 2級(第26回)キャリアコンサルティング技能検定 試験結果|国家検定 キャリアコンサルティング技能検定 / 2021年度 後期 2級(第27回)キャリアコンサルティング技能検定 試験結果|国家検定 キャリアコンサルティング技能検定 / 2022年度 前期 2級(第28回)キャリアコンサルティング技能検定 試験結果|国家検定 キャリアコンサルティング技能検定

実技試験

実技試験には「論述試験」と「面接試験」の2つがあり、後者はさらに「ロールプレイ」と「口頭試問」の2つに分けられます。

論述試験は記述式で解答するスタイル(1ケース)で、試験時間は60分です。

面接試験(ロールプレイ)は受検者がキャリアコンサルタント役となり相談を受けるスタイルで行われ、試験時間は20分となっています。面接試験(口頭試問)は自分自身の相談について試験官からの質問に答えるスタイルで、試験時間は10分です。

論述試験・面接試験、どちらも100点満点中60点以上の得点であれば合格です。受験料は、すべての実技試験をあわせて29,900円(非課税)となっています。

なお、第26回 2級キャリアコンサルティング技能検定における実技試験の合格率は19.73%、第27回は19.01%、第28回は17.63%です。学科試験に比べて合格率が低いため、その難易度は高めと考えられます。

参照:2021年度 前期 2級(第26回)キャリアコンサルティング技能検定 試験結果|国家検定 キャリアコンサルティング技能検定 / 2021年度 後期 2級(第27回)キャリアコンサルティング技能検定 試験結果|国家検定 キャリアコンサルティング技能検定 / 2022年度 前期 2級(第28回)キャリアコンサルティング技能検定 試験結果|国家検定 キャリアコンサルティング技能検定 

1級キャリアコンサルティング技能士

1級キャリアコンサルティング技能士の受験資格、学科試験・実技試験の詳細は以下のとおりです。

受験資格

受験資格は6つあり、いずれかひとつを満たしていれば受験することができます。

参照:受検資格|国家検定 キャリアコンサルティング技能検定

学科試験

学科試験は五肢択一マークシートの全50問で、試験時間は100分、受験料は8,900円(非課税)です。100点満点中70点以上の得点であれば合格となります。

なお、第10回 1級キャリアコンサルティング技能検定における学科試験の合格率は14.57%、第11回は62.56%です。回によって合格率が大きく異なるため難易度は一概にいえませんが、努力次第では問題なく合格できると考えられるでしょう。

参照:2020年度 後期 1級(第10回)キャリアコンサルティング技能検定 試験結果|国家検定 キャリアコンサルティング技能検定 / 2021年度 後期 1級(第11回)キャリアコンサルティング技能検定 試験結果|国家検定 キャリアコンサルティング技能検定

実技試験

実技試験には「論述試験」と「面接試験」の2つがあり、後者はさらに「ロールプレイ」と「口頭試問」の2つに分けられます。

論述試験は記述式で解答するスタイル(2ケース)で、試験時間は120分です。

面接試験(ロールプレイ)は受検者が事例指導者役となり、事例相談者役の指導を行うスタイルで行われ、試験時間は20分となっています。面接試験(口頭試問)は自分自身の事例指導について試験官からの質問に答えるスタイルであり、試験時間は10分です。

論述試験・面接試験、どちらも100点満点中60点以上の得点であれば合格です。受験料はすべての実技試験をあわせて29,900円(非課税)となっています。

なお、第10回 1級キャリアコンサルティング技能検定における実技試験の合格率は7.25%、第11回は9.62%となっています。2級キャリアコンサルティング技能士の実技試験に比べて難易度が高いので、万全に準備することが大切です。

参照:2020年度 後期 1級(第10回)キャリアコンサルティング技能検定 試験結果|国家検定 キャリアコンサルティング技能検定 / 2021年度 後期 1級(第11回)キャリアコンサルティング技能検定 試験結果|国家検定 キャリアコンサルティング技能検定

【共通】キャリアコンサルタント名簿への登録をお忘れなく

それぞれの資格の学科試験と実技試験に合格しただけでは「キャリアコンサルタント」の肩書きは使えません。前述のとおり、キャリアコンサルタントは登録制の名称独占資格なので、キャリアコンサルタント名簿に登録することではじめて名乗ることができます。

具体的には、合格証の写しをはじめとする書類とキャリアコンサルタント登録申請書をキャリアコンサルタント登録センターに提出しなければなりません。

また、登録免許税として9,000円(収入印紙)、登録手数料として8,000円(非課税)も発生するため、あらかじめ用意しておきましょう。

まとめ

キャリアコンサルタントの資格を取得すれば、企業の人事担当者としてより信頼されやすくなるほか、活動の幅がグッと広がります。そのため、キャリアアップを図りたいと考えている方は、ぜひキャリアコンサルタントの資格取得に目を向けてみてください。

なお、人事担当者は自らのキャリアアップだけでなく、社員のキャリアアップにも目を向ける必要があります。その具体的な方法については以下の記事でご紹介しているので、ぜひあわせて読んでみてください。

キャリアデザインとは?どう設計するの?企業として社員の成長をサポートしよう
社員のキャリアアップを支援!その具体的な方法とキャリアアップ助成金について
キャリアパス制度の目的・意味とは?企業にとってのメリットと導入手順

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この記事の著者

寛之大内