社員のキャリアアップを支援!その具体的な方法とキャリアアップ助成金について

「優秀な人材をなかなか確保できない」「離職率が高い」などとお悩みの人事担当者の方もいるのではないでしょうか。もしかすると、その原因は「社員が社内でキャリアアップを図れない」という企業の体制かもしれません。
そこで今回は、企業による社員のキャリアアップ支援に焦点を当て、その重要性や方法についてご紹介します。あわせて、キャリアアップ助成金に関する情報もまとめているので、ぜひご覧ください。
人材確保・離職防止を実現!社員のキャリアアップを支援する重要性
キャリアアップとは、その職務に必要な知識やスキルを継続して磨き、経歴を高めることです。たとえば「社内でのキャリアアップ」には、昇進によって役職やポジションが上がること、そしてパート・アルバイト・契約社員などから正社員になることなどが該当します。
転職が当たり前になっている昨今、労働者は多様なキャリアを選択できるようになりました。そのため、企業が新たな人材を確保するには、キャリアアップできる仕組みを整える必要があります。そうすることで、目標とするキャリアの実現に向けて一歩踏み出そうとしている人材が、自社に興味を持ってくれるようになり、求人に応募してくれる可能性が高まるでしょう。
また、今いる優秀な人材の流出を防ぐためにも、キャリアアップできる仕組みが欠かせません。なぜなら、今いる企業でキャリアアップできれば転職する必要がなくなるからです。
これらの点から、企業が社員のキャリアアップを支援することは、人材確保・離職防止を実現する上で重要なポイントだといえます。
すぐに実践できる!社員がキャリアアップできる企業にする方法

では、社員がキャリアアップできる企業にするためには、具体的に何をすればよいのでしょうか。
明確な人事評価制度を設ける
社員がキャリアアップできる企業にするには、まず明確な人事評価制度を設ける必要があります。なぜなら、明確な指標がないと評価にバラつきが出る可能性があるからです。この場合、社員のキャリアアップを適切に支援することができなくなる可能性があります。
このような事態を防ぐためにも、職種やポジション別に数値目標や行動指標・目標を定めて、あらかじめ社員に明示することが大切です。そうすれば、社員を客観的かつ正当に評価でき、社員も納得感を持ってキャリアアップに励めるでしょう。
キャリアアップ制度を設ける
このほか、昇格・昇進の基準が明確にわかるようなキャリアアップ制度を設けることも大切です。具体的には、「チームリーダーからグループリーダーへ、そこからサブマネージャー、マネージャーへ」というように、ポジションとキャリアアップの流れを明確にして、評価ごとに昇進していく仕組みを整備するのも一案です。この場合、昇進したらどのポジションに就くのか、どのような評価基準になっているのかがわかるので、社員のモチベーションアップが期待できます。
このように、キャリアアップ制度を通して「目指したいキャリアに主体的に挑戦できる環境」を整えることで、自ずと社員のキャリアアップを支援できるでしょう。
定期的に個別面談を実施する
定期的に個別面談を実施することも、社員がキャリアアップできる企業にする方法のひとつです。具体的には、3か月ごとや6か月ごとに面談を実施して、それぞれが目指すキャリアや課題について話し合うのがおすすめです。定期的に一人ひとりと向き合うことで、社員が抱えている悩みや不安などが明確になり、キャリアアップに向けた的確なアドバイスをすることができます。
キャリアアップを目指す社員の中には、自らの課題にひとりで向き合っている人も一定数います。面談でそういった社員の声に耳を傾けることで、社員は「自分はひとりじゃない」と安心でき、より前向きにキャリアアップに励めるようになるでしょう。
あわせて押さえておきたい!キャリアアップ助成金について

上前述した「社員がキャリアアップできる企業にする方法」は、非正規雇用社員の企業内でのキャリアアップ支援にもつながります。もし、社内で非正規雇用社員のキャリアアップを実現できた場合、企業はキャリアアップ助成金を受け取ることができます。
キャリアアップ助成金とは
キャリアアップ助成金とは、非正規雇用社員の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、および処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成するものです。

支給対象事業主は全コースで共通しており、以下のようになっています。

引用:キャリアアップ助成金のご案内|厚生労働省 都道府県労働局 ハローワーク
キャリアアップ助成金の具体的な額
キャリアアップ助成金の具体的な額は、コースによって異なります。
たとえば、有期雇用非正規社員を正社員にした場合は、正社員化支援の「正社員化コース」が適用され、1人あたり57万円(生産性の向上が認められる場合は72万円)が支給されます。無期雇用非正規社員を正社員にした場合も同様に「正社員化コース」が適用され、1人あたり28万5,000円(生産性の向上が認められる場合は36万円)を受け取ることが可能です。
非正規雇用社員(1〜5人)の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給させた場合は、処遇改善支援の「賃金規定等改定コース」が適用され、1人あたり3万2,000円(生産性の向上が認められる場合は4万円)が支給されます。同様の取り組みを非正規雇用社員6人以上に行った場合は、1人あたり2万8,500円(生産性の向上が認められる場合は3万6,000円)を受け取れます。
なお、そのほかのコースの具体的な額は以下のとおりです。詳しい内容は、厚生労働省のサイトでご確認ください。

参照:キャリアアップ助成金のご案内|厚生労働省 都道府県労働局 ハローワーク
見落とさないようにしよう!キャリアアップ助成金に関する注意点
キャリアアップ助成金を受け取るには、いくつか要件を満たさなければなりません。
取り組みを実施する前に手続きしなければならない
キャリアアップ助成金を受け取るには、各コースの実施日の前日までに管轄労働局長へ「キャリアアップ計画」を提出する必要があります。万が一、提出できなかった場合はキャリアアップ助成金を受け取れなくなるので、忘れないよう注意しましょう。
なお、キャリアアップ計画とは、有期雇用労働者などのキャリアアップを支援する取り組みを計画的に実行するため、目標や目標達成に向けて事業主が行うこと、実施期間などをあらかじめ記載するものです。
就業規則に詳細を明記する必要がある
単に非正規雇用社員の処遇を変えるだけでは、キャリアアップ助成金を受け取ることはできません。どのような場合に、どのような労働者が制度の対象になるのか、あらかじめ就業規則などに明記する必要があります。これもキャリアアップ助成金を受給するための要件なので、必ず押さえておきましょう。
まとめ
社員のキャリアアップを企業が支援することには、「人材確保・離職防止を実現する」という大きなメリットがあります。また、社内で非正規雇用社員のキャリアアップを実現できた場合には、キャリアアップ助成金を受給することが可能です。
よりスムーズに優秀な人材を確保するためにも、そして社員一人ひとりがキャリアアップを図れる体制を整えるためにも、今回ご紹介した「社員がキャリアアップできる企業にする方法」をぜひご参考にしてみてください。
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