社員のストレス耐性を高めるには?ストレスの原因と対策!

いくら能力が高い社員でも、ストレスと上手に付き合えなければ休職・離職してしまう可能性があります。そのため、企業は社員のストレス耐性に目を向け、必要に応じて高めることが大切です。
そこで今回は、ストレス耐性に焦点を当て、概要や重視されている理由、耐性が高い人・低い人それぞれの特徴などについて解説します。また、社員のストレス耐性を確認する方法と高める方法もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ストレス耐性とは?概要と重視されている理由について
ストレス耐性とは、その名のとおり「ストレスに耐える力」のことで、具体的には「どの程度のストレスにまで耐えられるか」「ストレスを適切に処理できるか」などを意味します。
ただし、同じストレスでも人によって感じ方は異なります。たとえば、Aさんはさほどダメージを受けなかったとしても、Bさんは食欲不振・睡眠不足になるなど身体に異常をきたすこともあります。このように、人によってその度合いが異なるのがストレス耐性の特徴です。
ストレス耐性は、以下の6つの要素で決まるといわれています。
① 容量 | ストレスを受け止める容量(キャパシティ)のこと。容量が大きい人は「ストレスに対する許容範囲が大きい」ということなので、ストレス耐性が高いと判断できる。一方で、容量が小さい人はストレス耐性が低いとされる。 |
② 感知 | ストレッサー(ストレスの原因)に気付く能力のこと。ストレッサーに気付かなければストレスを感じないため、感知能力が低い、すなわち鈍感なほどストレス耐性が高く、感知能力が高いほどストレス耐性が低いと判断できる。 |
③ 処理 | ストレッサーを弱める、または排除する能力のこと。ストレッサーに対し有効に働きかけられる人は処理能力が高いと判断できるため、ストレス耐性が高いと判断できる。一方でパニックになる人はストレス耐性が低いとされる。 |
④ 転換 | ストレッサーを「ポジティブなこと」に転換する能力のこと。たとえば、ストレスを「学びになった」とポジティブに考えられる人はストレス耐性が高い。一方で、ストレスを悔やみ続ける人はストレス耐性が低いと判断できる。 |
⑤ 回避 | ストレッサーを回避する能力のこと。自律神経系や免疫系の安定と関連性があるといわれているため、心身が健康であるほど回避能力が高くストレス耐性が高く、心身が健康でないほど回避能力が低くストレス耐性が低いとされる。 |
⑥ 経験 | その人のこれまでのストレスに対する経験値のこと。似たようなストレスに何度も直面すると処理能力が高まるため、経験値が高い人ほどストレス耐性が高く、低い人ほどストレス耐性が低くなる。 |
なぜストレス耐性が重視されているのか?
仕事でのストレスが原因で退社する人は少なくありません。

引用:【退職理由の8割はストレス】会社に前向きな退職理由を伝えた人でも、7割前後は実はストレスが原因で退職していた|PR TIMES
現に、精神科医による運営のもとオンラインカウンセリングサービスを提供する株式会社マイシェルパが行った調査では、「ストレスが退社の原因となった」と答えた方は全体の約8割という結果が出ています。
少子高齢化の影響によって労働力人口が減少している中、ストレスによって休職者や退職者が増えると人材不足につながりかねません。もしそうなると事業を続けるのが困難となり、企業の成長がストップしてしまう危険性があります。
こうした事態を避けるには、社員一人ひとりのストレスを緩和すると同時に、ストレス耐性を確かめて必要に応じて医師による面接の案内、業務内容の変更、労働時間の短縮などの措置を講じる必要があります。そのため、今ストレス耐性が重視されていると考えられるでしょう。
仕事内容や人間関係にある?社員がストレスを感じる原因

では、そもそも社員はどのようなことにストレスを感じているのでしょうか。

引用:【心理カウンセラー資格のメンタル心理ヘルスカウンセラー資格を目指すなら日本メディカル心理セラピー協会】若手社員のストレス調査!約9割が職場や仕事にストレスを感じていると回答!|PR TIMES
日本メディカル心理セラピー協会が行った「若手社員のストレス」に関する調査によると、若手社員の9割以上が「社会人になってからストレスが増えた」と感じていることがわかります。

引用:【心理カウンセラー資格のメンタル心理ヘルスカウンセラー資格を目指すなら日本メディカル心理セラピー協会】若手社員のストレス調査!約9割が職場や仕事にストレスを感じていると回答!|PR TIMES
「ストレスの一番の原因は何だと思いますか?」という質問には、「職場や仕事」と回答した人がもっとも多く、次いで「家庭環境」「友人など職場以外の人間関係」と続きました。
続いて、職場で感じるストレスについては「仕事内容」と回答した人がもっとも多く、次いで「上司との関係」「労働時間」「同僚との関係」「通勤」となっています。
つまり、「やりたい仕事ができていない」「上司が残業しているとなかなか帰れない」といった状況に対してストレスを感じている人が一定数いるということです。

引用:【心理カウンセラー資格のメンタル心理ヘルスカウンセラー資格を目指すなら日本メディカル心理セラピー協会】若手社員のストレス調査!約9割が職場や仕事にストレスを感じていると回答!|PR TIMES
また、約7割の人が「ストレスが原因で心身の不調を感じている」と回答しており、「なんとなくだるい」「肌が荒れた」「体重が減った、または増えた」「眠れない」「やる気がでない」「なんとなく気持ちが落ち込む」「憂鬱な気分になる」といった不調を実感しています。
ストレス耐性が高い人・低い人の主な特徴
一般的に、ストレス耐性が高い人・低い人にはそれぞれ以下のような特徴があるといわれています。
ストレス耐性が高い人の特徴
ストレス耐性が高い人は物事をポジティブに捉える傾向がある、つまりストレスを感じたとしても、それを「ポジティブなこと」に転換する能力が備わっているとされています。
また、予期せぬトラブルが生じても無理に行動せず、自分で考えて適切な対応をとる一面があることから、マイペースや集中力が高いことも、ストレス耐性が高い人の特徴といえます。
ストレス耐性が低い人の特徴
ストレス耐性が低い人の特徴としては、真面目なことが多く、自分にも他人にも厳しく完璧を求める傾向があります。そのため、妥協を許さず自分を追い詰めてしまうことも少なくありません。
このほか、協調性が高すぎるのもストレス耐性が低い人の特徴です。ほかの社員と足並みを揃えられるという一面もありますが、度を超すと自分の気持ちを押し殺してしまうからです。
検査を活用しよう!社員のストレス耐性を確認する方法
社員のストレス耐性を確認する際は、適性検査(適性テスト)を活用するのがおすすめです。
DIST
DISTは、実施から診断まで自社でできる、自社採点方式のストレス耐性テストです。4つの特性から「どのようなストレスに強いか」を判定し、ストレッサーに対する耐性を診断します。
面接・面談だけではなかなか見抜けないストレス耐性を、1人約5分の採点で確認できるため、効率性は高いといえるでしょう。
DIST-COM
DIST-COMは、上述した「DIST」のコンピュータ版です。ストレス耐性の確認方法はDISTと同じですが、受検者をランキングし効率的に診断・判定できるため、採用・教育担当者の負担を軽減することができます。そのため、社員が多い場合はDIST-COMの利用がおすすめです。
3Eテスト
3Eテストは、ストレス耐性のほか性格や価値観も確認できる適性テストです。ストレス耐性に関しては、「仕事での各種ストレスにどの程度耐えられるか」を4つの項目で確認することができます。
種類にもよりますが、15〜35分と比較的短時間でストレス耐性を確認できるため、導入しやすいといえます。
TG-WEB
TG-WEBは、HUMANAGEが提供している適性検査シリーズの総称です。複数の適性検査を組み合わせて実施することができ、その中に「ストレスを対処する力」があります。
ストレッサーに対処しようとする力、いわゆる「認知的行動的努力」を測定できるため、ストレス耐性の有無を確認することが可能です。
企業にできることは?社員のストレスを軽減する方法

社員のストレス耐性を高めると同時に、仕事でのストレスを軽減するために、企業でできる取り組みをご紹介します。
職場の環境を整える
社員のストレス耐性を軽減するために、企業はストレスを抱えにくい職場環境を作る必要があります。
前述のとおり、職場で「仕事内容」「上司との関係性」などのストレスを感じている社員は多くいます。そのため、企業はまず「業務の量や質が本人の能力と見合っているか」を確認し、もし見合っていない場合は、業務量の調整・部署の異動などを行いましょう。
人間関係に関しては、たとえば「月に1回、同じ部署のメンバーでランチタイムを取る」など、コミュニケーションの活性化を図れるような施策を実施するのがおすすめです。
このように職場の環境を整えることで人間関係が良好になり、心身ともに健康的になってストレスが軽減する可能性があります。
長時間労働にならないよう注意する
社員がストレスを感じる原因の1つに「労働時間」もがあります。仮に長時間労働が当たり前恒常化していると、社員がメンタルヘルス不調になり休職や離職につながる恐れがあります。また、そもそも長時間労働はかえって生産性が落ち、離職率が上がるともいわれています。
そのため企業は、時間外労働や休日出勤を減らし、社員の働きすぎを防ぐことが大切です。プライベートが充実し休養をしっかり取れるようになれば、ストレスの軽減耐性の向上が期待できます。
ストレス耐性を高めるための研修を行う
ストレス耐性には「性格や健康状態の影響を受ける」という一面がありますが、経験値の向上や考え方の見直しでそのレベルを高めることもできます。そのため、企業としてストレス耐性を高めるために研修を実施するのもおすすめです。社員がいざストレスに直面したとき適切に対処できるようになるほか、休職や離職の防止にもつながります。
ストレス耐性関連の研修には、たとえば「レジリエンス研修」というものがあります。ストレスを柔軟に受け止めるための考え方やストレスに対するアプローチを学べるほか、困難な状況に立ち向かう強さを身に付けられるため、社員のストレス耐性を高める上で効果的といえるでしょう。
まとめ
ストレスを軽減し、耐性を高めることは、社員にとっては「心身の健康を守る」というメリットにつながり、企業にとっては「休職や離職による人材不足を防げる」というメリットにつながります。そのため、企業は社員のストレスを緩和し耐性を高める施策を講じることが大切です。
社員一人ひとりのストレス耐性を確認して、そのレベルに合った施策を積極的に取り入れていきましょう。
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