「プロパー社員」とは?意味や特徴を正しく押さえて社員間の差別を防ごう

「プロパー社員」という言葉を見聞きしたことはあっても、その意味まで正しく理解している方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、プロパー社員という言葉の意味をはじめ、特徴やほかの社員との相違点について解説します。あわせて、プロパー社員とほかの社員の差別を防ぐ方法もご紹介しているので、ぜひご参考にしてください。
プロパー社員とは?意味を正しく理解しよう
プロパー(proper)とは「適切な」「ちゃんとした」などを意味する英単語です。これに由来し、ビジネスシーンで見聞きする「プロパー社員」という言葉には、以下の3つの意味があります。

このように「プロパー社員」という言葉には複数の意味があり、明確な定義はありません。
業界や企業、場面によって意味合いが変わるため、「プロパー社員」という言葉をビジネス用語として使用しないのが望ましいといえます。もし使いたいのであれば、「生え抜きの社員」「自社の社員」 などと誤解を招かないよう明確にしておきましょう。
参照:properの意味・解説|weblio 和英辞典・英和辞典
それぞれの意味に共通している!プロパー社員の特徴
プロパー社員には「企業への帰属意識が高い」という特徴があり、これは上述した3つの意味すべてに該当します。具体的には、以下のとおりです。
新卒社員は、今在籍している企業でしか正社員として働いた経験がないので、複数の企業で働いた経験がある中途社員に比べて、自社への愛着心が強い傾向にあります。
また、正社員は非正規雇用社員と比べてさまざまな業務を任されることが多いため、仕事に対する意識が高いといわれています。
そして自社の社員は、協力会社や下請け会社などの外部社員にはない「在籍している企業で仕事を全うしている」という意識があるので、帰属意識が強くなりやすいのです。
これらの点から、プロパー社員は企業への帰属意識が高い傾向があると考えられています。
具体的に何が違う?プロパー社員とほかの社員の相違点

では、プロパー社員とほかの社員にはどのような違いがあるのでしょうか。プロパー社員についてさらに理解を深めるためにも、具体的な相違点を押さえましょう。
プロパー社員と中途社員の相違点
プロパー社員を「新卒社員」とするなら、その対照となるのは「中途社員」です。この場合の主な相違点は「待遇面」にあり、プロパー社員は中途社員より優遇されることが多い傾向にあります。その理由には、日本の企業では年功序列という考え方が根付いていることが挙げられます。
年功序列の場合、勤続年数に比例して給与や待遇が決まることから、長く在籍しているプロパー社員のほうが好待遇につながりやすいのです。
また、プロパー社員と中途社員には「将来性」にも相違点があります。
プロパー社員は、中途社員のように他の企業を知りません。そのため、企業にその従順さが買われ、将来の幹部候補生として企業の将来を左右するような重要な機会に関わることが多いようです。つまり、プロパー社員の方が企業の今後を担う人材として、経営陣から目をかけられやすい傾向があります。
プロパー社員と非正規雇用社員の相違点
プロパー社員を「正社員」とするなら、その対照となるのは「非正規雇用社員」です。具体的には、派遣社員や契約社員、アルバイト・パート社員などが挙げられます。
この場合の主な相違点は「雇用期間」にあり、プロパー社員が「無期雇用」であるのに対し、プロパー以外の社員は「有期雇用」で、たとえば契約社員は通常1〜2年で契約更新となります。
また「業務内容」にも違いがあり、正社員は事業のメインとなる業務を担当することが多い一方で、非正規雇用社員は正社員をサポートするような業務を行うことが多い傾向にあります。
キャリアアップを視野に入れている人材を非正規雇用社員として雇用し続けると不満を持つこともあるため、企業としてはその人材の適正に応じて雇用形態を決める必要があるでしょう。
プロパー社員と外部企業の社員の相違点
プロパー社員を「自社の社員」とする場合、その対照となるのは「外部企業の社員(出向社員や下請け社員など)」です。ここでのプロパー社員は、新卒社員・中途社員・派遣社員・契約社員・アルバイト・パートなど、すべての雇用形態を含めた自社の社員を指します。
この場合の主な相違点は「決定権の有無」にあり、決定権はプロパー社員が持つことが多い傾向にあります。自社に関する何らかの決定を下す場合はなおさらでしょう。
押さえておこう!プロパー社員とほかの社員の差別を防ぐ方法

上述のとおり、プロパー社員とほかの社員にはどうしても違いが生まれますが、その度が過ぎると差別と捉えられてしまうこともあります。では、差別を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。
1.評価基準を明確にする
プロパー社員とほかの社員との差別を防ぐには、評価基準を明確にすることが大切です。「プロパー社員と違ってどのように評価され、それがどう給与や昇給につながるのか」をわかるようにすれば、非プロパー社員としての働き方が明瞭になり、不安や差別を感じづらくなるでしょう。
また、プロパー社員と中途社員に関しては、中途社員のほうが評価されづらいという現状もあります。どちらも正社員であることに変わりはないので、平等な評価基準を設けるのが望ましいでしょう。そうすることで、中途社員が差別されていると感じづらくなるほか、意欲の向上も期待できます。
2.給与体系を見直す
給与体系の見直しも差別を防ぐことに有効です。
上述したとおり、年功序列の場合、勤続年数に比例して給与や待遇が決まります。これだと、プロパー社員(新卒社員)が圧倒的に有利となってしまいます。
そのため、差別を防ぐにはまず年功序列を排除する必要があるのです。その上で、評価制度を実力主義にして誰もが納得できる給与体系にしていけば、非プロパー社員が不満を抱くことが少なくなり、差別も生じづらくなるでしょう。
3.同じ目標の達成を目指す風土を作る
プロパー社員とほかの社員が同じ目標のもと業務に取り組めていない場合、溝が生まれやすくなるほか、非プロパー社員が差別されていると感じやすくなります。そのため、プロパー社員とほかの社員を分けず、全員で同じ目標を目指す風土を作ることが大切です。
具体的には、セミナーや研修を一緒に受けるのはもちろん、同じ事業への取り組み、チームを組んで仕事を進めたりすることも有効です。そうすることで、自ずと話す機会が増えて溝が埋まり、非プロパー社員が差別されていると感じることも少なくなるでしょう。
4.コミュニケーションが取りやすい環境にする
このほか、コミュニケーションが取りやすい環境を作ることも大切です。
たとえば「新卒入社」のプロパー社員と他の社員に溝がある場合、コミュニケーションを通してプロパー社員は「社内での業務の進め方」を、非プロパー社員のうち中途採用者は「これまでに培った経験」などを共有することで、企業全体の成長につながります。また、プロパー社員は自分になかった考え方や視点を吸収でき、それ以外の社員は孤独感を解消しやすくなります。
まとめ
プロパー社員という言葉には、「新卒社員」「正社員」「自社の社員」といった3つの意味があります。どの意味でも、ほかの社員に比べて企業への帰属意識が高いのが特徴です。そのため、場合によっては非プロパー社員との間に溝ができることもあり、企業としてはそれを何としてでも防ぎたいものです。
今回ご紹介した「プロパー社員とほかの社員の差別を防ぐ方法」を実践すれば、平等・公平な仕組みを整えることができるでしょう。