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退職証明書とは?離職票との違いや基本的な作成方法、テンプレート例をご紹介

社員の退職が決まったとき、企業としては円満に送り出したいものです。これを実現するには、あらかじめ退職証明書について理解を深めておく必要があります。

そこで今回は、退職証明書と離職票・在籍証明書の違いをはじめ、退職証明書が必要になるケースや基本的な作成方法についてご紹介します。あわせて、退職証明書を作成・発行する際の注意点も解説しているので、ぜひご参考にしてください。

離職票・在籍証明書とは何が違う?退職証明書とは

退職証明書とは、解雇や転職によって社員が退職したことを企業が証明する書類のことです。決められたフォーマットはなく、主に退職者の退職年月日や退職理由を記載します。

退職証明書は公的文書ではないため、必ず発行しなければならないわけではありません。ただし、退職者から求められた場合は迅速に発行する義務があり、それは労働基準法 第二十二条「退職時等の証明」により定められています。

参照:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)|e-GOV 法令検索

退職証明書と類似する書類に「離職票」がありますが、これら2つは別物です。退職証明書が上述のとおり「社員が退職したことを企業が証明する書類」であるのに対し、離職票は「退職者が失業保険を申請したり国民健康保険の手続きを行ったりする際に必要な書類」です。

また、退職証明書は公的文書ではありませんが、離職票は公的文書に分類されることから、これも相違点といえます。さらに、退職証明書は企業が発行する書類、離職票はハローワークが発行する書類という違いもあります。

退職証明書離職票
分類私文書公的文書
特徴社員が退職したことを
企業が証明する書類
退職者が失業保険の申請・
国民健康保険の手続きをする際に必要な書類
発行元企業で発行するハローワークで発行する

そして、退職証明書と類似する書類には「在籍証明書」もあります。これは、「現時点で在籍していること、もしくは過去に在籍していた事実を証明する書類」です。

現状、退職証明書とほとんど区別されていませんが、発行に法的義務があるかどうかに違いがあります。具体的には、退職証明書は退職者に請求されたら発行の義務が発生しますが、在籍証明書には発行の義務はありません。

役割とあわせて押さえよう!退職証明書が必要になるケース

では、退職証明書はどのようなケースで必要になるのでしょうか。以下で代表的なケースを2つご紹介します。

退職者が次の職場から退職証明書の提出を要求されたとき

1つ目は、退職者の転職先で退職証明書の発行が必要になる場合です。

退職証明書には、「退職者が自社で確かに雇用しており、このたび正式に退職が完了したこと」を証明する役割があります。そのため、企業によっては履歴書や職務経歴書の内容に嘘がないかどうかを判断するため、またどのような理由で退職したのかを把握するために、応募者に対して退職証明書の提出を要求することがあります。

退職者が各種申請・手続きをする際に退職証明書を提出したいとき

2つ目は「失業保険の申請・国民健康保険の手続きに使う」場合です。

失業保険の申請・国民健康保険の手続きには、公的文書である離職票が使われるのが一般的です。しかし、離職票は発行までにいくつかの段階を踏むため、交付までに約2週間かかることがあります。

一方で退職証明書は交付までにさほど時間がかからないため、離職票がまだ手元にない場合、その代わりとして失業保険や国民健康保険、国民年金の手続きに使われることが多くあります。そのため、退職者が「すぐにでも申請したい」「手続きしたいのに離職票がない」という状況で、退職証明書を求められた場合は発行しなければなりません。

テンプレートもご紹介!退職証明書の基本的な作成方法

退職証明書の基本的な作成方法とテンプレート例は、以下のとおりです。

退職証明書に記載する内容

退職証明書に記載する内容に決まりはありませんが、基本的には「使用期間」「業務の種類」「その事業における地位」「賃金」「退職事由」の5つから、退職者が希望した項目を記載します。

使用期間使用期間とは、退職者が自社に在籍していた期間のことです。正式な書き方はありませんが、「2020年4月1日~2021年10月31日」と西暦で記載するのが望ましいとされています。
試用期間を入れるかどうかは企業によって異なるため、あらかじめ確認した上で記載するようにしましょう。
業務の種類退職者が着手していた業務について記載します。「経理職」「営業職」「開発職」といった具体的な職種だけを記載するのが一般的です。複数の職種を兼任していた場合は、すべて記載しましょう。
その事業における地位退職者に役職があった場合は、「◯◯部 部長(課長)」と、どの部署でどのような役職に就いていたかを記載します。とくに役職がなかった場合は「一般職」で問題ありません。
賃金記載する内容は企業によって異なり、主に「月給(社会保険や税金を控除する前の支給額)」や「年収」などを記載するのが一般的です。
退職事由「自己都合による退職」「契約期間満了による退職」「定年による退職」「解雇による退職」などと記載するのが一般的です。これらに当てはまらない場合は、「その他(具体的には◯◯による退職)」と記載するとよいでしょう。

退職証明書のテンプレート例

退職証明書のテンプレート例は、以下のとおりです。

最後に要チェック!退職証明書を作成・発行する際の注意点

最後に、退職証明書を作成・発行する際の注意点をご紹介します。以下の2点を把握していない場合、思わぬトラブルにつながる可能性もあるので、必ずチェックしておきましょう。

退職者が希望した内容だけ記載する

退職証明書には、上述した5つの内容から、退職者が希望する項目だけを記載します。これは労働基準法第二十二条第三項により、労働者が希望した項目以外を記載してはならないと定められているためです。

たとえば、退職者が「退職日だけを証明したい」と希望している場合は退職日だけ記載し、業務の種類・その事業における地位・賃金・退職事由などは記載してはいけません。

なお、関連する注意点として、「国籍」や「信条」「社会的身分」「労働組合運動」などは退職者の就業を妨げる可能性があるため、基本的に記載してはいけません。テンプレートを作る際は、これらの記入欄を作らないよう注意しましょう。

参照:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)|e-GOV 法令検索

退職日から2年間は請求されたら発行する必要がある

退職証明書の発行申請の期限は退職から2年間であり、これは労働基準法 第百十五条により定められています。また、退職証明書の発行回数に制限はないため、退職から2年間はいかなる場合でも退職者から退職証明書を請求されたら発行する必要があります。言い換えれば、退職から2年を過ぎたら、請求を受けても発行する義務はありません。

参照:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)|e-GOV 法令検索

まとめ

退職者が無事に転職や、各種申請・手続きを済ませられるようにするには、前職の企業として退職証明書を発行する必要があります。これは、企業が退職者に寄り添う最後の機会といっても過言ではありません。退職者に悪い印象を持たれないためにも、この記事を通して退職証明書に関する知識を深めて、迅速に作成・発行を行いましょう。

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この記事の著者

寛之大内