組織戦略はどう策定する?具体的な方法・コツと成功させるポイントをご紹介

企業のさらなる成長を図るには、組織戦略を策定することが大切です。しかし、中には「組織戦略とは?」「どう策定するの?」とさまざまな疑問をお持ちの経営者の方もいるでしょう。
そこで今回は、組織戦略の重要性や策定方法、適切に策定するコツをご紹介します。あわせて、組織戦略の策定に活用できるフレームワークや組織戦略を成功させるためのポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
組織戦略とは?まずはその重要性を理解しよう
そもそも、組織戦略とは何なのでしょうか。また、どの企業も必ず策定する必要があるのでしょうか。適切に判断するためにも、まずは組織戦略について理解を深めましょう。
組織戦略とは、理想とする組織の姿を実現するためのシナリオ(手段・方針)のこと。実際には明確な定義は定められていませんが、ビジネスではこのように解釈されることが多くなっています。
企業の理念やビジョンに合った組織戦略を策定することで、今後の方向性が明確になるため、社員の能力を十分に活かしながら業務を行うことができます。とくに労働力不足と向き合うことが多い中小企業では、組織戦略が経営を左右することもあります。そのため、組織戦略の策定は、企業が成長し理想像を目指していく上で必要といえるでしょう。
組織戦略と事業戦略・人事戦略の違い
組織戦略と混同されやすい言葉に「事業戦略」と「人事戦略」がありますが、実はこの3つの言葉が持つ意味は異なります。

組織戦略と事業戦略では、「組織づくり」「事業づくり」という点に相違があります。組織づくりと事業づくり、どちらをより重視しているかで両者の重要性は変わってくるため、組織戦略と事業戦略において「どちらを優先にすべきか」という問いに答えはありません。
組織戦略と人事戦略では、「理想とする組織を実現する手段・方針の範囲」に相違があります。組織戦略がそのすべてを指しているのに対し、人事戦略は主に「人事に関する業務・オペレーション」を指しています。つまり、組織戦略のひとつが人事戦略ということです
主に2パターンある!組織戦略を策定する方法

組織戦略を策定する方法には、「トップダウン・アプローチ」と「ボトムアップ・アプローチ」の2つがあります。それぞれで特徴は異なりますし、策定する際のポイントも変わってくるため、2つともよく理解した上で自社に合った方法を選択することが大切です。
1.トップダウン・アプローチ
トップダウン・アプローチは、CEOをはじめとする経営陣が外部環境の分析をしたのち組織戦略を策定し、社員に実行させる方法です。「分析結果をもとに戦略を立てる」「一般的によく使われている分析手法を使うことが多い」という特徴から、分析的で定式化された戦略、すなわちほかの企業と類似した結論になる傾向があります。
そのため、経営陣はこの特徴・傾向を理解した上で、慎重に組織戦略を策定する必要があるでしょう。また、社員が組織戦略を正しく理解できるよう、必要な情報をわかりやすく共有することも大切です。
2.ボトムアップ・アプローチ
ボトムアップ・アプローチは、現場の社員の提案を踏まえて組織戦略を策定する方法です。社員から提案を受けた上司が、その内容を確認し承認しながら意思決定を行います。常に現場の状況を把握できるため、環境の変化に対応でき、かつ競合他社と類似しづらい戦略を策定することが可能です。
ただし、ボトムアップ・アプローチには意思決定における責任者が不明瞭という一面もあります。そのため、上位の役職につく社員が意思決定を行うなどして、責任者を明確にすることが大切です。
事前に対応しよう!適切な組織戦略を策定するコツ
実際に組織戦略を策定する際は、以下でご紹介する3つの前準備を行うことが大切です。忘れず取り入れられるかどうかで組織戦略の出来栄えが変わってくるため、あわせて押さえておきましょう。
自社が目指す姿を示す
組織戦略を策定する際は、まず自社が目指す姿を明確にして市場に発信することが大切です。具体的には、「自社の存在価値は何か」「事業を通じて社会にどのような価値を提供したいか」を明確にして示すことが重要です。その上で組織戦略を策定することにより、途中で戦略が目標からズレてしまうのを防ぎやすくなります。
社員の不満を解消する
社員が企業や業務に対して不満を抱いていると、適切な組織戦略を策定するのが困難になります。また、もし組織戦略を策定できたとしても、実際に取り組んだ際の成果を十分に見込めません。
組織戦略は、企業が一体となって実行してこそ効果を発揮します。そのため、社員の不平・不満を解消し、かつこれらを溜め込まない環境を作ることが大切です。
具体的な方法としては、平等性・公平性のある人事評価制度を設けるのが一例です。差別・贔屓(ひいき)なく全員が平等に評価される環境を確立することで、社員一人ひとりの生産性が向上し、ひいては策定した組織戦略を実行しやすくなります。
中間管理職の重要性を理解する
経営陣と社員をつなぐ中間管理職の存在は、組織戦略を策定・実行する上で重要といえます。なぜなら、中間管理職をどう活かすかで、意思決定の質やスピードが大きく変わるためです。よって組織戦略を立てる際は、あらかじめ中間管理職の立ち位置や動き方を見直すことが大切です。そうすることで、組織戦略をより効率的に策定・実行しやすくなるでしょう。
ぜひ使ってみて!組織戦略の策定に活用できるフレームワーク

組織戦略を策定する際は、以下でご紹介するフレームワークを活用するのもおすすめです。
SWOT分析
SWOT分析とは、自社の外部要因と内部要因を「ポジティブ」と「ネガティブ」に分けて分析することで、マーケティングをはじめとする戦略策定に役立てるフレームワークです。

企業の内部環境と外部環境を分析・把握できるため、広い視点から組織戦略を策定できます。
7Sモデル
7Sモデルとは、組織の要素を7つの「S」で表すことで組織の全体像と要素間の連携を捉えることができる、マッキンゼー・アンド・カンパニー社が提唱したフレームワークです。

ハードの「S」は比較的変更が容易であるのに対し、ソフトの「S」は変更に時間がかかります。そのため、仮にソフトの「S」を軸にした組織戦略を策定する際は、長期的な視点を持って計画を立てることが大切です。
なお、7Sモデルを活用する際は「ハードとソフト、両者の整合性を保つ」という意識を強く持つ必要があります。たとえば、人材育成・人員配置を適切に行えても、人材を支えるシステムを構築できていない、または組織構造が明確でない場合は、組織としてのパフォーマンスが上がりません。
こうした事態を避けるためにも、すべての要素に目を向けて組織戦略を策定するようにしましょう。
策定して終わりじゃない!組織戦略を実現・成功させるためのポイント

策定した組織戦略を実行し成功させるには、以下のポイントを押さえる必要があります。
自社が目指す姿を社員に浸透させる
ベストな組織戦略を策定できても、社員が「企業が目指す姿」を理解していなければ本末転倒です。なぜなら、組織戦略を成功させるには、自社が目指す姿を社内に浸透させる必要があるからです。
社員一人ひとりが「企業が目指す姿」を常に意識して業務と向き合うようになれば、組織戦略を成功させやすくなるほか、生産性向上も期待できます。そのため、経営層と社員の交流機会を増やすと同時に、企業のビジョンを理解し精進した社員を表彰する「社内表彰制度」などを導入して、企業の目指す姿を積極的に伝えていきましょう。
組織戦略に対する社員の理解を得る
上述した内容と類似しますが、組織戦略に対する理解を得られないことには成果を出すこともできません。つまり、組織戦略を成功させるためには、組織戦略について社員に共有し理解を得る必要があるのです。そうすることで、組織戦略の成功が現実味を帯びてきます。
くわえて、社員が組織戦略の実現・成功に協力してくれるよう、社員の意見を適宜反映することも大切です。前述したように、社員が企業や業務に対して不満を抱いていると、組織戦略の成果が見込めなくなります。そのため、社員の意見に耳を傾けることも忘れないようにしましょう。
組織戦略にマッチした人材を採用する
組織戦略の実行を成功へと導くためには、企業全体で協力して取り組むことが欠かせません。
たとえば、採用活動にて「優秀だが、価値観が企業の方向性と異なる人材」を採用した場合、組織戦略の実行が困難になる可能性があります。また、実行したとしても十分な効果が見込めないことが考えられます。こうした状況になるのを回避し、スムーズに組織戦略を成功させるためにも、新たに人材を採用する場合は組織戦略の内容にマッチした人材を選ぶことが大切です。
人材採用が難航している場合は……
採用が激化している昨今、採用活動がうまく進まないこともあるかもしれません。そのときは、従来の採用活動を見直すのも一案です。
たとえば、これまで求人広告を活用した採用活動を行っていたなら、リファラル採用を実施してみてはいかがでしょうか。社員に自社に合う人材を紹介してもらえるので、外部費用をかけずに組織戦略の内容にマッチした人材を採用できます。
なお、リファラル採用の目的やメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
組織戦略を共有する体制を整える
トップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチ、どちらの方法を選択するにしても、経営陣と社員の意識共有は欠かせません。組織戦略のほか、企業の理念やこれからの方針を共有できていないと、効果的に実行するのはもちろん、成功を収めることも困難です。そのため、あらかじめスムーズな意識共有ができる環境を整えることが大切といえます。
長期的に取り組む
組織戦略を成功させるには、長期的な視点を持って実現させていくことも重要です。
そもそも、戦略の成果が現れるようになるまでには、ある程度の期間を要します。また、短期間のうちに何度も戦略の見直しが行われると、社員に組織戦略の重要性が伝わらなくなる恐れもあります。これでは、せっかく優れた組織戦略を策定できても、なかなか実現できないかもしれません。
こうした事態を避けるためにも、短期間のうちに戦略の見直しを繰り返すのは避け、長期的に取り組むよう意識することが大切です。
説得力のある理由のもと組織戦略を変更する
組織戦略は常に同じとは限りません。企業が目指す姿が変われば、それに伴って組織戦略の内容も変更する必要があります。ただし組織戦略を変更する際は、社員から理解を得られるよう説得力のある理由を用意することが大切です。また、社員の反応をこまめに確認しながら慎重に変更することもポイントといえます。
コンサルティングを活用する
必要に応じて、コンサルティングを活用するのも一案です。
コンサルティングを活用することには、「社内にはない専門的なノウハウを取り入れられる」「組織戦略の策定・実現の手間を省ける」というメリットがあります。もちろん、依頼するには一定の費用が発生しますが、組織戦略の策定が初めてでノウハウがない場合や、繁忙期が続いて組織戦略の策定になかなか時間を割けない場合は有効です。
心当たりがある企業は、コンサルティングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今ある自社の課題を解決したり、さらなる成長を図り理想とする企業を目指したりするには、組織戦略を策定し実行することが大切です。今回ご紹介した策定方法・コツを参考に、自社ならではの組織戦略を立ててみてください。
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