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採用活動のLINE活用はアリ?ナシ?導入の不安解消とメリットを、専門家が徹底解説!【採用賢者に聞く 第32回】

LINEはコミュニケーションツールとして多くの人が利用しているサービスです。昨今、採用シーンでも利用するケースが増えているようです。しかし「カジュアルすぎる」「メールでもよいのでは?」「負担が増えそう」など、導入をためらう企業も少なくありません。

LINEで学生とやり取りするのは良いのか悪いのか、採用活動にどのようなメリットがあるのか。LINE活用についての講演や著書執筆で大反響を呼んでいる、株式会社サイトウジムキ代表取締役/インターネットマーケティングプロデューサーである斎藤元有輝氏に、解説していただきました。

株式会社サイトウジムキ代表取締役 インターネットマーケティングプロデューサー 斎藤元有輝氏 LINEの専門家として、テレビ朝日に電話出演。日経新聞社を始め企業や大阪商工会議所等全国の商工会議所等でLINEビジネス活用セミナーの講師を務める。著書『トコトン使って売上を上げる! LINE@活用術-1通で60万円売れる居酒屋 驚きの集客法』(セルバ出版、2016年)は、発売1週間でたちまち増刷。2022年現在、10刷。LINEビジネス活用セミナーにおける登壇数は、200回を超える。30年以上のリアルビジネスの経験と20年以上のネットビジネスの両方の経験を持つ。そのため、LINEをビジネスに活用して成功するために不可欠なオンラインとオフラインの双方に強く、現役社長かつ現役ネットショップオーナーかつ講師という稀有な存在。

利用率9割以上!学生にとって「LINE」はインフラ


学生とのコミュニケーションに、電話やメールではなく、あえてLINEを導入するメリットを教えてください。

これは私のリアルビジネスにおける実体験なのですが、以前は、メルマガを使って顧客とコミュニケーションを試みていました。しかし、何度チャレンジしても、開封率も返信率も上がりません。そして結局、続けることができなくなりました。

新卒採用に限って言えば、これはなおさらの結果です。顧客視点で考えると当たり前なのですが、学生は普段、メールなんてまったく使いません。とある学生のiPhoneの画面を見せてもらったのですが、メールのアイコンに未読の通知が何通あったと思いますか?なんと、6,000件以上です。そんなに多ければ、1通増えたところで、新着が来たかどうかもわかりませんよね。ビジネスでは、新着メールがあれば開封して読むのが当たり前ですが、学生は読まないことがデフォルトなのです。コミュニケーションはSNSツールが主流で、その中でもLINEの利用率が高いのだと、改めて認識すべきではないでしょうか。

学生が使うSNSツールは、LINEだけでなく、Twitterやインスタなどもあるかと思います。そのなかでもLINEを選ぶ理由はなんですか?

LINEには2つの特徴があるからです。

1.一斉配信できる

他のSNSツールでは、一対一でしかメッセージのやり取りができません。100人に案内を出そうとすると、100回送信する必要があり、非常に手間がかかります。

一方のLINEはメルマガのように一斉配信が可能です。しかも、メルマガより開封率が格段に高いです。一般的に、ネットショップのメルマガの開封率は約10%と言われていますが、LINEの場合50~80%が開封されているという話もあるくらいです。情報を配信する労力と、到達度を考えると、圧倒的にLINEが便利だと考えます。

2.学生の利用率が高い

東京工科大学が、2014年から毎年、新入生の「コミュニケーションツール」利用実態調査を実施しています。2022年の新入生の「コミュニケーションツール」利用実態調査によると、連絡手段にLINEを使う新入生は、全体の99.2%、7年連続で95%以上という結果が出ています。つまり、学生が1,000人いたら、LINEを使っていないのは1人以下ということです。学生にとってLINEは、電気・ガス・水道と並ぶインフラと言っても過言ではないでしょう。

一方、連絡手段としての他のSNSツールの利用率は、Instagramは46.0%、Twitterは28.5%と、LINEと未だ大きな開きがあるのが現状です。そのことからも、学生と連絡を取るなら、LINEのほうが確実だと言えるでしょう。マーケティングの観点から言えば、LINEという釣り堀に“顧客”である学生がたくさんいるわけです。しかも、今はその釣り堀に糸を垂らしているライバルが少ない状況で、「狙わない手はない」というのが私の正直な意見です。

「LINE」は、人との距離を縮めるために生まれた

コミュニケーションツールとしてLINEを導入することで、採用活動が向上するメリットもありますか?

就職活動が始まれば、さすがに学生もメールを読むようになるので、LINEでなくてもよいのではないか、という意見もありますが、そこには多くの企業が見落としている事実があります。LINEは、2011年の東日本大震災のとき、多くの人が携帯電話がつながらず、連絡手段に困ったことをきっかけに、「コミュニケーションの取りやすさ」に特化して開発されたツールです。そのため、次のような特徴があります。

1.件名がない

メールには件名がありますが、LINEにはありません。これによって、会話するようにダイレクトにコミュニケーションできるので、情報の伝達がスムーズです。逆に言うと、学生はLINEがスタンダードなので、「件名」という概念がなく、「件名」に何を書けばよいかわからず、メールを返信する際のハードルとなっているのです。

2.体裁のルールがない

メールの場合、「相手の名前を書く」「冒頭に挨拶文を入れる」「最後に署名を入れる」など、一定の体裁があります。しかし、LINEは要件のみでもコミュニケーションが成り立ちます。学生の立場からすると、普段メールに慣れていないので、体裁のルールがわかりません。これもメール返信のハードルを上げている要因と言えるでしょう。

たとえば、面談の日程をずらしてほしい場合、LINEなら「その日は行けないので、日程をずらしてもらえませんか?」と一文で済みます。しかも、LINEの文化的にカジュアルな文面でも、それほど失礼には受け取られません。しかし、メールだとそうはいかないのです。その結果、「面倒なので、行かなくていいや」と離脱してしまう学生もいると考えます。

3.非同期でコミュニケーションできる

簡単な質問なら、電話でもよいし、そのほうが早いのではないか、という意見もあります。しかし、電話は相手と同じ時間を共有しないとコミュニケーションが取れないため、それも一つのハードルとなっています。

LINEなら、相手の都合を考えなくても、聞きたいときに聞きたいことだけ聞けます。さらに言ってしまうと、今の学生は電話するときもLINEで「今、電話していい?」と確認しています。電話にアポイントが必要、というのが学生の一般常識なのです。しかも、学生は知らない電話番号からの着信に出ることはほとんどなく、ましてや折り返してかけ直すという習慣もありません。学生にとって、電話はツールとして身近ではないという認識を持ったほうが良いと思います。

まとめると、学生にとって心理的な負荷の少ない、優しいツールがLINEです。学生も返信しやすいので、「説明会の服装は、どうしたらいいですか?」など、気軽に質問を返してくれます。一斉配信の後に、個別に細かな質問にも答えることができるので、学生との関係性をつくりやすく、説明会から次のステップに進めやすくなります。また、LINEでの1to1のコミュニケーションによって、学生は「気にかけてくれる」「丁寧」という印象を持ってくれるでしょう。その結果、ドタキャンや内定辞退を減らせるのではないかと思います。なぜなら、これらの多くは、コミュニケーション・ロスが原因だからです。企業と学生の距離を縮めることが、採用活動の真髄であり、まさにLINEはもってこいのツールだと思いませんか。

正式な通知でも使えて、ツール活用でさらなるメリットも

LINEを採用活動に導入するにあたり、企業からよく寄せられる質問を教えてください。

LINEでのコミュニケーションで、企業様が心配されるのは、主に次の2点です。

1.内定や不合格など、正式な連絡で使ってよいのか?

LINEはカジュアルなツールなので、内定出しや不合格などの正式な連絡で使うのは、企業として印象が悪いのではないか、というご相談をよくいただきます。結論としては「問題ない」です。

実際、どうしても心配だという企業様がいらっしゃったので、LINEだけで連絡した学生と、LINEとメールの両方で連絡した学生の反応を、比較してもらいました。結果、採用担当者からは「LINEだけでも、なんの問題もなかったです」という声をいただきました。

今の新入社員は、LINEで遅刻や退職の連絡も送るメンタリティです。まして、学生ならなおさらです。大体において、正式な「お祈りメール」をもらっても、わざわざ取っておく学生はほとんどいないでしょう。LINEが普及する前と後では、若者のコミュニケーションは、媒体もツールも大きく変わりました。それがあまりに急速だったため、企業側がついていけてない、それが実情だと思います。

2.学生からの問い合わせが増えて、対応できなくなるのではないか?

LINEのコミュニケーションは、1to1が基本ですが、企業アカウントに関しては、最大100人のメンバーで共有できます。そのため、学生からは一つのアカウントに見えるのですが、チームで質問に対応できるので業務分担することができます。また、学生からは見えませんが、企業内では誰が対応したかがわかり、リアルタイムで共有できるのでフォローできるというメリットもあります。LINEを使えば、採用DXも進められるので一石二鳥と言えるでしょう。

ただ、大企業に限って言うと、大量の学生が応募してくるので、その対応にも限界があります。そんなときには、LINEを管理できるツールの導入をオススメします。これによって大量の学生の日程管理や、チャットボットによる返信の自動化などが可能になります。導入の目安としては、学生の応募が1000人を超えるなら、検討のタイミングかもしれません。

なお、これらのツールでは学生とのコミュニケーションをスムーズするだけでなく、LINEによって1to1で蓄積された学生のデータを分析することもできます。採用活動のPDCAサイクルを回す上でも、大きなメリットがあると思います。

導入や運用はほぼゼロ・コスト。まずは試してみることから

最後に、採用担当者の方に導入を後押しするメッセージをお願いします。

LINEの企業アカウント作成自体は、無料でできます。学生の送るメッセージも月1,000通以内なら無料ですし、1000通を超えても、1万5,000通までなら、5,000円/月で利用できます。メガバンクのLINE公式アカウントの登録者でも数千人なので、多くの企業でイニシャルコスト・ランニングコストはほとんど必要ないと言えるでしょう。むしろ、学生に逃げられてしまうと困っている地方や中小の企業ほど、導入のメリットは大きいと思います。導入リスクは低いと思いますので、ぜひ試してください。

導入が進まない一つの理由として、LINE世代である学生との認識の差があるからではないでしょうか。事実、社内で理解を得るのに難航しているというご相談もよく受けます。そんな時こそ、LINEは学生のコミュニケーションツールのスタンダードであることを再認識してください。

そして、スモールスタートができるツールとして、部分的に利用しつつ実績を出してから社内プレゼンを進めていくという方法でもいいと思います。それも難しい、社長や人事役員の説得が必要というときは、ご連絡いただけたら、オンラインで私が直接無料説明会を行いますので、お気軽にお声がけください。

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この記事の著者

斎藤 元有輝
LINEの専門家として、テレビ朝日に電話出演。日経新聞社を始め企業や大阪商工会議所等全国の商工会議所等でLINEビジネス活用セミナーの講師を務める。著書『トコトン使って売上を上げる! LINE@活用術-1通で60万円売れる居酒屋 驚きの集客法』(セルバ出版、2016年)は、発売1週間でたちまち増刷。2022年現在、10刷。LINEビジネス活用セミナーにおける登壇数は、200回を超える。30年以上のリアルビジネスの経験と20年以上のネットビジネスの両方の経験を持つ。そのため、LINEをビジネスに活用して成功するために不可欠なオンラインとオフラインの双方に強く、現役社長かつ現役ネットショップオーナーかつ講師という稀有な存在。