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4大卒採用の全体像。理想の採用スケジュールと適切な採用活動とは?【採用賢者に聞く 第26回】

採用が早期化し続ける現代、いつ・どのタイミングで何をすべきなのかわからなくなっている採用担当者の方もいるのではないでしょうか?

今回は4大卒の学生がどのようなスケジュールで就職活動を行うのかを整理。採用活動の乗り遅れを防ぐためには、いつ・どのタイミングで何を準備しておくべきなのかを、株式会社アタックス・セールス・アソシエイツのコンサルタント・酒井利昌氏に解説いただきました。

早期化する4大卒の採用の現状

就職活動の早期化は、採用担当者の肌感でもわかることかと思いますが、実際はどのような状況なのでしょうか。

早期化は報告されているデータからも伺えます。株式会社リクルートの就活みらい研究所によると、大学3年次の6月以前に就活をスタートする学生の割合が、2020卒は17.9%だったのに対し、2021卒は26.1%、2022卒は27.0%と年々増加しています。さらに、就活開始の一番のピークは、2020卒がナビサイト解禁の3月で21.6%だったのに対し、2022卒は14.2%と大幅にダウンしており、3年次の6月以前が就活開始のピークという結果でした。

[R.I.1] (就職みらい研究所「就職白書2022」より)

このようなトレンドのなか、意識の高い学生は、6月からのサマーインターンシップ(以下、夏IS)を見据えて、3年次の4~5月から、企業研究を始めているのが現状です。こうした就職活動の早期化の原因としては、3つの理由が挙げられます。

(1)就職協定による拘束力の弱まり

就職協定とは、3月情報解禁、6月選考開始のスケジュールというルールで、2020年卒までは、経団連が「採用選考に関する指針」として示していましたが、「2021年卒以降の学生を対象とする採用選考に関する指針を策定しないこと」を正式に発表し、2021年卒以降は、政府が経団連に代わって「採用選考に関する指針」の内容を引き継いでいます。

ただこれまで通り、あくまで紳士協定であり、企業への罰則はありません。経団連の加盟企業を中心に、これまで以上にルールに対する拘束力が弱まっているという背景があります。実際のところ、実質的な採用選考を3月の情報解禁前からスタートしている企業が多いことは、周知の事実です。

(2)就活のオンライン化

コロナ禍により、強制的にオンライン化された就活ですが、学生にとっては、移動のための費用や時間のロスがないため、就活開始のハードルは下がりました。企業側としても、イベント会場のセッティングの手間がなく、関係者のスケジュール調整がしやすくなり、早期に動きやすくなりました。

また、対面イベントよりコストを低減できるため、比較的短期間の準備で小さなイベントをたくさん打ちやすくなったことも、影響として大きいです。

(3)少子化による採用意欲の高まり

経済活動の先行きは不透明ではあるものの、少子化による影響で企業の採用意欲は高まりを見せています。株式会社ディスコの調査によると、3月、4月、5月、6月時点の内定率が2年連続で増加しており、企業が年々内定出しの時期を早めていることがわかります。

また、毎年6月時点で内定を出している企業規模の割合を見ると、従業員1,000人以上の大企業の割合が2年連続で減少していることから、中小企業でも早期に内定を出し、人材を確保したいという意欲が高まっていることがわかります。

(株式会社ディスコ「キャリタス就活 2023 学生モニター調査結果(2022 年 6 月発行)」より)

3年次4月から、さまざまな採用活動が並行

就活の早期化が進むなか、最近の学生の就活スケジュールと、採用担当者が打つ施策について教えてください。

タイムスケジュールをまとめると、次のようになります。

各時期において、採用担当者が何をすべきかについて、以下解説します。

▼4月~5月

就職活動の早期化により、意識の高い学生は3年の4月から情報収集を開始します。その情報源である採用ホームページは、この4月、5月の時期には更新しておきたいところです。また、6月からナビサイトがプレオープンし、インターンシップ(以下、IS)の情報掲載が可能になります。そのための準備もこの時期に必要となります。

一方で、この時期は、ちょうど前年度の学生(4年生)の選考や事実上の内定出しが山場を迎えている時期でもあります。採用活動にかけられるリソースや、優先順位を加味し、それぞれの企業でできること、やるべきことを吟味する必要があるでしょう。

▼6月

6月のナビサイトのプレオープンで、ISへのエントリーもスタートします。夏ISに向けた選考の実施や、プログラム内容の準備などもこの時期になるでしょう。なお、早い企業では、この時期から1DayのISを開催し、7月~8月の夏ISにつなげていくところもあります。できるだけ早い段階で、学生に会っておきたいという狙いがあるようです。

▼7月~8月

夏IS本番となります。実施後の学生の動機づけもポイントです。採用活動が早期化した分、学生の就職活動の期間も長期化しています。その分、参加者へのフォローアップをしっかり実施し、動機づけを続けていくことも重要です。

▼10月

10月以降は、大学主催の就職ガイダンスや業界説明会が本格的に始まります。ここで実施されるセミナーなどに関われたら、秋以降の自社のISを紹介できる絶好のチャンスです。そのためにも、普段から大学の研究や学生の活動を支援し、良好な関係を築いていくことが鍵になります。

▼11月~2月

秋冬のISを実施。新しい学生との接点の獲得のほか、夏IS参加者限定のISやイベントを実施してフォローアップしていくことも重要です。さらに、早い企業では実質的な早期選考もスタートし、年内に内々定を出すケースもあります。対象者に合わせて、複数の採用イベントを並行して走らせていくことになるでしょう。また、3月のナビサイト公開に合わせた準備も必要になる時期です。

▼3月

早期化が進んでいるとは言え、ナビサイトが解禁されるこの時期も大きなピークのひとつ。プレ期で獲得できなかった学生にターゲットを広げ、大きな候補者集団を形成するチャンスです。学生の応募ハードルを下げるために、以前ご紹介したようにエントリーシートを使わない採用も、ぜひ検討していただきたいところです。

詳しくは、「そのエントリーシート、必要ですか?採用の当たり前を見直す【採用賢者に聞く 第17回】 」をご覧ください。

また、実質的な選考がスタートし、中旬には面接のピークを迎えます。

▼4月

4月下旬に実質的な内定出しのピークを迎えます。この時期から次年度の学生に向けた準備もスタートします。

▼5月

内定承諾に向けた内定者フォローが重要な時期です。OB訪問やキャリア相談などを実施するなど、動機づけに力を入れていきましょう。

▼6月

政府指針上の採用活動が解禁されます。これに伴って正式に内々定を出すことができ、内々定を出した学生の懇親会などを開催し、同期や社員とのつながりを深めることで、動機づけを強化していくことが大事になるでしょう。

▼10月

正式な内定を出します。すでに次年度の採用活動がスタートしていますが、一応ここで一区切りです。

ご紹介したのは、近年のスタンダードとなる採用スケジュールです。これを念頭に置きながら、他社の動向と見比べつつ、対策を練ることが大切になってきます。

ISの評価が、24卒学生から採用時に利用可能に

年々、早期化する採用スケジュールですが、今後の動向として注目するポイントを教えてください。

2022年6月13日、政府がISのルールを見直し、一定の条件を満たしたISは、参加した学生の評価を採用選考時に利用できるようなりました。適用は24卒の学生からとなりますが、経団連や国公私立大などでつくる産学協議会の要望に、政府が応えた形です。

これに伴って、ISに力を入れる企業がますます増えるのではないかと考えています。

【評価を採用に利用できるISの条件】
・実施期間が一般的なISは5日以上、専門的な内容を含む場合は2週間以上
・実施機関の半分以上は職場の就業体験にあてる
・学業との両立への配慮から、実施は学部3~4年時の長期休暇などに限る など

そこで重要になるのは、学生がどのようなISを求めているかです。学生が知りたいのは、文字や映像などではわからない、企業のありのままの姿です。リアルな就業体験や社風を、いかに伝えられるかがポイントになるでしょう。そのためにも、私は“有給インターンシップ”も一考の価値があると考えています。実際の業務に関わることが、その企業を知るには何よりも一番の近道だからです。

学生と企業が、双方でマッチング度を確認できる貴重な機会として、ISを活用できるか否かは、今後の新卒採用の成否を分けるといっても過言ではありません。

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この記事の著者

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酒井 利昌
株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ
採用コンサルタント
https://attax-sales.jp/

『いい人財が集まる会社の採用の思考法』著者。学習塾業界、人材サービス業界を経て、現職。営業コンサルタントとして現場指導に従事するとともに、採用コンサルタントとして活動。採用がうまくいかないことが成長のボトルネックとなっている企業が支援対象。 独自の営業・マーケティングノウハウを転用した採用力強化メソッドは、15ヶ月間、採用できなかった中小企業を2ヶ月間で成功に導くなど実績多数。「人の力を源泉に成長したい」全国の企業からのオファーが絶えず、無料で採用相談を受けることをライフワークにしている。