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ナビ系サイト経由の改善ポイントは?媒体・イベント・属性ごとのポイントを紹介!【採用賢者に聞く 第29回】

マイナビやリクナビといった就職ナビサイトに情報を掲載している企業の中には、「ナビ系サイト経由だと目標数に達しない」「量は集まるものの、書類選考通過率が低く歩留まりが悪い」といった悩みを抱えている担当者も多いのではないでしょうか。

ナビ系サイトへの情報掲載で「応募者を増やす」「応募者の質を上げる」ためにはどのような書き方や魅せ方が必要になるのか、株式会社fanphareの高橋麻菜美氏にお話をうかがいました。

株式会社fanphare(ファンファーレ) 高橋麻菜美

新卒でホテル業界にて法人営業を務め、 その後、キヤノンのグループ会社での人材開発、ウエディング大手であるノバレーゼとキャリアを重ね、人事採用に携わり、人材開発部長へ就任。 その後、リクルートのグローバル人材事業であるRGFにて、ヘッドハンター・コンサルタントのマネージャーを経験。 2020年に株式会社fanphareを共同経営者として起業。人材紹介、採用コンサルティング、スポーツメディアなどを事業として展開する。


ナビサイトは就職活動における“タウンページ”的な位置づけ

マイナビやリクナビといった就職ナビ(以下:ナビサイト)の役割はなんだとお考えになりますか?

2010年~2015年頃にかけて、SNSなどを活用したソーシャルリクルーティング採用が出現し、それと歩調を合わせるようにダイレクト・リクルーティングの流れが出てきました。

いわゆるかつての「掲載型」から、「スカウト型」のサイトが増えてきたことで、学生が自分で応募するナビサイトの優先順位が下がっているようにも見えますが、それでも学生の9割以上はナビサイトに登録していますし、ナビサイトを一切使っていない企業も見受けられません。

個人的にはナビサイトは、いわゆる就職活動の“タウンページ”的な位置づけだと捉えています。ナビサイトの中の「企業一覧」として捉えられ、掲載されていると、学生にとって企業としての一定の“安心感”のようなものが生まれます。全国にある企業求人の、エリア別・業界や業種別でわかりやすく分けられて検索しやすいですし、それのみではなく、いまはリコメンドやDMなども充実していて、知らなかった企業とたまたま出逢えるという役割を担っていると考えています。

人気ナビサイトのそれぞれの特徴を教えてください

ナビサイトの2強はやはり、マイナビとリクナビでしょうか。現在だとマイナビのほうが企業掲載数も学生登録数も多くなっています。それぞれの特徴的な使い方を言えば、マイナビは画面のUIが整理されていて、パッと見て分かりやすい・使いやすいという評価が多いです。写真掲載数やインタビュー記事掲載数もマイナビの方が多いので、内容を充実させ、企業のイメージアップをさせたい企業や、初めてナビサイトを利用する企業はマイナビの方が向いているかもしれません。

ただ、就活が終了した今年の学生に聞いた話では、まず初期登録をするのはマイナビで、そこから企業理解を深めていくのに使うのがリクナビと言っていました。また、中小企業にとって、SEO対策が有利に働くと思うのはリクナビです。リクナビは企業が随時更新する原稿内の内容やブログ、業種設定などの対策をきちんと運用すると、中小企業でも目に留めてもらえるようSEO対策がなされています。

なので、まだ知名度の低いベンチャーや中小企業が掲載順位などをあげるチャンスがあるため、きちんと運用ができるのであれば、リクナビを試してみてはいかがでしょうか。ほかにも、掲載料金や、DMなどのオプション、掲載時期、インターンシップ媒体など、各社の採用方針によって比較できるポイントは多いと思います。

■ナビサイトで募集をかける際のポイントは?

説明会や短期・長期インターンなど、イベント別にナビサイトで募集をかける際のポイントを教えてください

基本的な考え方として、ナビサイトは採用活動の「ひとつの手段」という意識が必要です。ナビサイトで各イベント別での募集をする場合に重要なのは、「何を行うか」を詳細に学生へ明示することだと思います。その上でそれぞれのポイントを解説します。

●説明会

会社説明の情報を掲載するうえで大切なことは、参加することによる学生のメリットを明確にすることではないでしょうか。当然、行きたい会社の説明会は自動的に参加するでしょうが、知名度の低い会社の説明会に「行ってみようかな」というきっかけをつくりだすことが重要です。

たとえば、ベンチャーや中小企業では、距離を近しくして働くであろう「社長」の登壇があるかどうか。また、学生は特に、会社のカルチャーや雰囲気を知りたいと考えているので、人事だけではなく、一人でも多くの登場人物が説明会に出てくる設計にした方が、参加数を集めやすく理解も深まると思います。また、昨今はオンライン説明会が主流となっているので、授業やバイトと被りづらい時間帯に設定したり、アーカイブ配信にしたり、全体の実施頻度や、事前登録までの簡易さなど、“参加の手軽さ”も重要なポイントです。

そしてナビサイトの募集項目には、説明会の手順や詳しい内容を、わかりやすく書き込んでください。

●短期インターンシップ

短期インターンシップは1日~1週間以内で実施されます。ナビサイトの情報解禁日は、大学3年生の3月1日と決まっていますが、インターンシップ募集は、前年(大学3年生)の6月~掲載できます。就活意識の高い学生ほど早期インターンシップへの参加に積極的ですから、優秀な学生と接触できるチャンスとなります。

ただし、ただの「会社説明会」になってしまってはいけません。早期に動く学生は、インターンシップの「コンテンツ内容」を見て参加を決める傾向があります。掲載するポイントとしては、以下の2点があります。

①他社がやっていないことをしているか
②短期インターンシップの参加が本選考採用に有利になるか 

上記の視点でコンテンツを決定し、詳細を掲載するとよいでしょう。

●長期インターンシップ

長期インターンシップは、1か月~という期間で実施されます。学生にとって最大のポイントは「有給」かどうかと、その報酬形態が重要です。また、自社の採用に直結するのかどうかを明確に示さないと学生にとってもメリットが薄くなってしまいます。社会人としての「実務」における経験を積んだり、成果物を残すことが目的なので、インターンシップを経た結果、なにが得られるのかということを明示しておきましょう。

長期インターンシップの場合、選考を挟むことが殆どですが、その選考課程がユニークだったり、“難関”とされている企業は、優秀な学生がその選考だけでも、「腕試し」にくるケースもあります。「選考課程」もインターンシップの一環にする、という企業は増えているかもしれませんね。

説明会、短期・長期インターンシップなどのイベント募集においては、コンテンツ設計とそのコンテンツの魅力を表現することがキーになります。

イベント(コンテンツ)の内容を決めることが重要ですね?

そうです。説明会にしろインターンシップにしろ、採用活動の一環なわけですから、それぞれのイベントで何を伝えるか、学生にどんなメリットがあるかを明確にする必要があります。ナビサイトにはそれらを、わかりやすく書く、という意識が大事です。

ナビサイトで募集をかける際に注意しておきたいポイントを教えてください

まず大事なのは、ターゲット像を明確にすることです。自社の求める新卒採用のペルソナをつくり、そこに刺さる文言・メッセージにすることは大前提です。加えて、ペルソナが複数ある場合には、どの層をナビで採用していくべきなのかを考えます。

そして、そもそも採用募集の間口を「広げたい」のか、「狭めたい」のか。当然、母集団をとにかく多くしたい場合、「文理問わず」や「学歴不問」など、どの学生でも応募しやすい設定にします。

逆に応募者の質を向上させたい場合には、求める人物像をできるだけ深掘り、それをできる限り細かく記載してください。例えば、「学生時代のアルバイトで〇〇のような、サービスクオリティが高い仕事を2年以上経験してきた人」などです。いくらマス向けのナビ媒体であっても、自社に合った人物像をできるだけ明確に記載してください。

そういった基本的なターゲットの設定ができたら、運用をこまめに行うことも大切です。

例えば、定期的にブログや先輩スタッフ紹介を更新するなどです。テーマによっては、特集ページに挿し込める場合もあります(例:〇〇な先輩特集、など)。募集人数についても、大まかに記載するのではなく、「あと何人」や「募集人数増やしました」といったことも書けるので、常に最新の情報を発信することができます。更新頻度が増えればSEOにも有効です。

あとは、ナビの原稿内容は人事担当者のみが作成することが多いので、締め切りに追われて、現場は誰もチェックしていない、ということは意外とあると思います。学生と目線の近い年次の1~2年目の社員や、内定者などに原稿全体を見てもらい、表現・言い回しや写真選定など、意見をもらうと良いでしょう。ナビサイトはPC版・スマホ版とあるので、両方でのプレビューチェックも忘れずに。

悩み別、ナビサイトの使い方のポイントは?

担当者が感じているナビサイトの悩み別に書き方のポイントを教えてください

「ナビサイトからの応募が少ない」「ナビサイトを経由した応募の質を高めたい」という代表的な悩みを取り上げて、以下解説します。

●ナビサイトからの応募が少ない (新卒文系男子向け/短期インターンシップの募集)
「文系」で「男子」を「短期インターンシップ」で募集したい理由が必ずあるので、まずその目的を明確にするべきです。そして、文系かつ男子が、インターンシップにおいての「課題」や「欲しているもの」は何か?を考えます。自社の事業・商品などの強みと、その課題解決を紐づけるようなコンテンツにすると、応募も集まりやすくなるのではないでしょうか。  

タイトルもそれに準じた形で考えます。男女雇用機会均等法により、募集のジェンダー設定は出来ないので、例えば写真の人物やイメージカラーを男性っぽくする、なども有効です。

また、応募の数自体が集まらなくて悩んでいる場合は、そもそもの間口を広げる必要があります。総体的に理系よりも文系の方が人数は多いはずですし、文系“限定”にせず、「どなたでも応募できます!」と打ち出すのもひとつの方法だと思います。文章量については、最近はスマホで見る学生が多いので、改行の仕方など、スクロールしながら読んでわかりやすい分量を心がけてください。

●ナビサイトを経由した応募の質を高めたい(新卒理系女子/説明会の募集)
応募者の質を上げたい場合、ナビサイトだけでの募集はあまり有効とは言えないと思います。ダイレクト・リクルーティングのほうが効果を上げられるのではないでしょうか。ナビサイトは良くも悪くもマスに向けての情報発信です。

それを踏まえた上で、ナビサイトでできることを挙げると、例えば理系女子にフォーカスしたインタビュー記事を掲載したり、また、一芸選考のような形で「研究内容を提出してください」といったことを掲載するなど、学生にとって自分が経験してきたことがメリットになる点を活かせるとよいのではないでしょうか。  

理系女子の場合、コミュニケーション力に自信のない学生も多いと思うので、それを意識した設計をしみてはいかがでしょうか。例えば、グループ面接ではなく、1on1面接にするなどですね。また、理系の場合、研究で忙しい場合が多いので、説明会をアーカイブ配信にする、もしくは画面OFF参加もOK、などの配慮があってもいいかもしれません。

ナビサイトを使用するポイントをまとめると?

まず採用活動の全体像を考え、その中のひとつの手段がナビサイト、という認識を持つことが大事です。そしてナビを使う際には、その中でどういう学生に来てほしいかというターゲット(本選考、インターンシップそれぞれでターゲットも少しは異なると思います)を明確にして、そのターゲットへのメリットをしっかりとメッセージすることがポイントです。

ナビサイトは就職活動におけるタウンページのような存在なのですが、中身はファッション雑誌のように作りこんでいく必要があります。ファッション雑誌は10代女子向け、30代以上の男性向けなど、ターゲットの年代や属性が細分化されていますよね? これと一緒です。ターゲットに合わせて、その人がどんな課題を持っていて、どんな情報だったら興味を持ってくれるのか?を考え、掲載する内容を選定し、その選考課程や状況にあわせ、常にブラッシュアップさせていくと良いと思います。

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この記事の著者

高橋 麻菜美
新卒でホテル業界にて法人営業を務め、 その後、キヤノンのグループ会社での人材開発、ウエディング大手であるノバレーゼとキャリアを重ね、人事採用に携わり、人材開発部長へ就任。 その後、リクルートのグローバル人材事業であるRGFにて、ヘッドハンター・コンサルタントのマネージャーを経験。 2020年に株式会社fanphareを共同経営者として起業。人材紹介、採用コンサルティング、スポーツメディアなどを事業として展開する。